でも泣き寝入りはしたくない人もいるはず。
相談できる機関はどこか。
労働基準法による雇用主と労働者への罰則はあるのか。
給料を払いたくない会社から賃金回収に成功した内容証明の書き方など。
目次
無断で辞めてしまい請求を諦めてしまう給料未払いの場合
会社が倒産などして給料を支払ってくれない場合の未払金の話など、たまに聞くことはあります。
でも、会社に対し不満があり、無断で勝手に辞めてしまった場合は、働いた日までの給料を貰うことを諦めてしまう人も少なくないのではないでしょうか。
無断で辞めてしまったことは、常識がなく、恥ずかしいことです。
でも、実際に働いた日数分の賃金は貰う権利があります。
給料を貰えなくても「高い授業料を払って勉強した」と、諦められるのであれば、問題ありません。
でも、働いた分の給料を「支払ってもらいたい」のであれば、辞めた会社に賃金を払ってもらうべきです。
なぜ無断で辞めてしまった?
- 早朝から出勤し、仕事の終わりが遅く、帰宅が22時になってしまい8時間労働を超えていた。
- 16歳の高校生だったので、通信制でも学業に支障が出てきた。
- 仕事を覚えたいのに、教えてくれなかった。
- 休みたい日があっても、休ませてくれない。
- 給料明細を出す月や、出してくれない月もあった。
- 会社の中で、唯一面倒見てくれていた先輩が辞めてしまい、助けてくれる人が居なくなった。
- 経営者が、怖い感じの人だった。
未払い分の給料を請求した理由
勝手に辞めたのだから、働いた分の給料を貰えないことは「高い授業料を払って勉強できた」として、放っておくのが「自分の考え」です。
でも、本人に頼まれて、振り込まれる給料を、先に、立て替えてしまっていたのです。
銀行の通帳とキャッシュカードも預かっていました。
だから、立て替えたお金が回収できず、損をしてしまうのは自分でした。
お金を持っていない本人から返してもらうのは、あてになりません。
自分が、浅はかだったことを、後悔し、反省しました。
だけど、こうなってしまったら、自分でなんとかするしかありません。
「自分のお金を取り戻す為に!」でした。
会社側の対応
まず、会社に電話を掛け、担当の方と話をしました。
社会人として常識のある話し方ではなく態度横柄でした。
最初に、事情を話し、謝罪をしました。
担当の方の結論としては
「本人が会社に取りに来ないと給料は渡さない」
ということでした。
ですが、本人は怖がって
「会社に取りに行くのは絶対に嫌だ」
と言ってる状態だったので困りました。
代理の自分が「会社に取りに来ても渡さない」と言われ、本人が行かないことには、渡してもらえません。
担当の人の態度が悪すぎて、自分も多少ムキになってしまいました。
でも、担当の方が喋った言葉から
「知識がない人なんだ」
ということがわかったのです。
その担当の方は
「うちの会社は労働基準局と通じている」
などと言っていました。
「社労士」
の名も語っていました。
その時点で、この担当の方は「労働法や民法をよく把握できていない」と思いました。
「〇〇さん(担当)ではなく、法的に受領権限のある社長と話させてください」
と、自分が言うと
「社長と話しても同じこと言われますけどね」
と言われましたが
「折り返し電話を掛けてくれる」
とのことでした。
でも、何日経っても連絡は無かったのです。
本人が取りに行くのは当然だと思います。
でも「絶対に取りに行かせるのができない事情」を話しても、それ以外の方法では「絶対、払わない」という会社側の主張に対し
「本人が取りに来れないのだから払う必要はない」
「泣き寝入りして諦めるだろう」
という考えなんだ、としか思えませんでした。
こんなふうだったら
「16歳でまだ子供である世の中を知らない子達には、会社は働いた分の給料を払わなかったケースが他にもあるはず」
と思ったのです。
法的に会社側にも問題があると思った点
- まだ16歳なのに、雇う際に、保護者の同意を求めることさえ無かった(親権者同意書)
- 雇用契約書も無く、何も書かされていない。
- 給料は銀行振込払いで、給料明細を出してくれる月もあれば、明細書をくれない月もあり、所得税などは差し引かれていた。
- 明細書を貰えない月は、金額の詳細がわからない状態だった。
- だから銀行振込してもらわないと給料の証明になるものが何も無いことになる。
- 18歳以下なのに23時過ぎに仕事が終わることもあった。
- 労働基準局に注意を受けるようなことをしている会社が、勝手に辞めた雇用者に対し、社労士の名を出してきたり「うちは労働基準局と通じてるちゃんとした会社だ」と言うこと自体が、完全におかしい、と思った。
民法第5条では、
「未成年者が法律行為(労働契約も)をするには、法定代理人(親権者、親)の同意を得なければならない」と定められています。
未成年者を雇うときは雇用主は親権者などの同意が必要になります。
無断で辞めた労働者に対する労働基準法による罰則は?
無断で辞めた場合は、
- 契約不履行
- 債務不履行
により、会社から損害賠償を請求されることもあります。
制服(作業着、ユニフォーム)など、会社から貰ったと思ってても、貸与されていることになるので、返却しないと備品の横領になることもあります。
勝手に辞めた労働者に給料の未払い金を支払う義務が雇用主にあるのか?
「働いた分の対価は、いかなる理由があっても、雇用主は支払わなければならず、労働者は受け取る権利がある」と、労働基準法で決められています。
給料未払いの雇用主に対する労働基準法による罰則は?
給料支払いの延滞は労働法24条違反になります。
無断で辞めた労働者に対し損害賠償を請求する場合でも、給料の支払いをしなければ、労働基準法第24条違反になります。
無断で辞めたことに対し
- 会社から損害賠償を求められる
- 給料を支払ってくれない
場合は、会社は
- 労働基準法第16条
- 労働基準法第24条
の違反になります。
賃金支払いとの相殺はできません。全額支払ってもらうよう会社に抗議できます。
未払いの給料を内容証明で請求
最初に、会社に対し、
- お世話になったことの御礼
- 失礼な対応をしてしまったことのお詫び
- その他、謝罪文
を書きました。
1枚は謝罪と会社への感謝の気持ちと御礼の文章でした。
2、3枚目は、会社にも問題があったのではないか、と思う理由を書きました。
- 雇う際の雇用契約書がないこと
- 未成年を雇うのに保護者の同意書が無かったこと
- 担当の方が労働基準局や社労士の名を出してきたことの疑問点
- 給料明細が貰えない以上、告知済みの銀行口座への振込で支払ってもらわなければ、収入を証明できるものが何も無い点
など、指摘する文章を書きました。
給料の請求には、
後◯日以内に告知登録済口座へ支払いし
ていただきたいのです。給料は本人にし
か支払えないものです。収入を証明する
事情がある為、通帳記載が給料明細代わ
りになっている理由もあるからです。
振込手数料は引いてください。
と、期日を切りました。
最後に、
- 穏便に解決したいこと
- 働らかせてもらっていた時によくしていただき本当に感謝していること
- 恩を返すどころか迷惑をかけたことをお詫び
- 大変申し訳ございませんでした
という文を書きました。
郵便局の窓口で内容証明郵便を受付てもらってから、内容証明郵便を相手が受け取ったという証明の通知が届きました。
すぐに、会社の事務の方から電話がありました。
良心的な対応で、普通に気持ちのいい話ができました。
会社から貸与されている
「作業着を返却してもらえれば、すぐに振込する」
とのことでした。
とりあえず、ホッと一安心できました。
作業着は、綺麗に洗濯して、翌日に届くよう、郵送で返却しました。
自分は「3日以内」と期日を切りましたが、4日目に振込されていました。
結果的に、内容証明郵便で会社に給料を払ってもらうことができました。
自分のお金を取り戻すことができて、本当に嬉しかったです。
内容証明の書き方
内容証明郵便(謄本)の作成には形式が決められています。
用紙については、自由です。
縦書き、横書き、どちらでも構いません。
(内容証明書用紙も市販されています)
パソコンなどを使って印刷したり、手書きでも大丈夫です。
用紙の大きさは決まっていませんが、1枚に書ける文字数が520字以内と決められています。
(横書きの場合)
- 1枚 1行20字以内 26行以内
- 1枚 1行13字以内 40行以内
- 1枚 1行26字以内 20行以内
(縦書きの場合)
- 1枚 1行20字以内 26行以内
日本語で作成しなければなりません。
英語は固有名詞にだけ使えます。
句読点、記号も1字扱いになります。
使用可能な文字は、漢字、ひらがな、カタカナ、数字、句読点、記号、かっこ、です。
かっこ( )については前後あわせて1字扱いです。
記号と認められる、かっこのついてる数字⑴などは、⑴で1字扱いになります。
文書中に、
- 差出人(自分)の住所と氏名
- 受取人(相手)の住所と氏名
を記載する必要があります。
文書の最初、文中、末尾の余白でも構いません。
枚数に決まりはありません。
2枚以上になったら、ホッチキスなどで閉じた後に、見開きするページのつなぎ目に契印(三文判、認印、実印など)を押します。
よくわからない場合は、間違わない為にも、内容証明を出すときに、印鑑を持参して郵便窓口で教えてもらってください。
自分の契印を押すつなぎ目に、郵便局側の証明印も出す際に押してくれます。
内容証明郵便は、作成したものと同文の同じ文書が、3通必要になります。
(3通作成)
- 相手に送る
- 郵便局が保管する(5年間)
- 自分が保管する
ので、3通作成しなければなりません。
手書きの場合、2通はカーボン紙での複写でも大丈夫です。
他に何かを同封することはできません。
訂正する箇所が出た場合は、間違った文字に2本線で消し、◯行目◯字訂正、削除や加入など、どこを訂正したかわかるように余白部分に記入し、自分の印鑑を押します。
末尾の余白に記入する場合は◯行目と書く必要があります。
封筒のサイズも決まっていません。
封筒に記入する差出人の住所、氏名と、受取人の氏名、住所は、作成した文書中に記入したものと、同じにしてください。
自分はパソコンで3枚作成し、同じものを3通印刷しました。
1枚目の最初に
株式会社 〇〇〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇〇 殿
と書き、3枚目の文章の終わりの下に
平成〇〇年〇月〇日
通知人
自分の住所
氏名 〇〇〇〇 印鑑
被通知人
会社の住所
株式会社 〇〇〇〇〇〇
代表取締役 〇〇 〇〇〇 殿
この郵便物は平成〇〇年〇月〇日
第〜〜〜号書留内容郵便物として
差し出されたことを証明します。
日本郵便株式会社
郵便局の証明印を参考に書いて載せています
通知人と被通知人と記入しました。
下の余白には上記のような証明印を押してくれます。
できれば、証明印を押してもらうための余白をあけておく方が良いです。
自分が作成した書き方を参考として載せています。
書き方等はこの限りではありません。
給料未払い請求の相談先機関
全国労働基準監督署(厚生労働省)
労働基準監督署から会社が注意を受けることは、会社の評判を下げることになる為、会社が給料を支払ってくれる可能性もあります。
労働基準監督署に相談しても解決しない場合
- 内容証明郵便
- 支払督促申立書(簡易裁判所)
- 訴訟
労働者支援団体
- 全国労働組合系連合(全労連)
- 全国労働組合連絡協議会(全労協)
- 首者圏青年ユニオン
賃金の支払いに立ち会ってもらたり、担当者に間に入ってもらえます。
まとめ
内容証明で給料を請求することに決めた理由は
「ちゃんとした会社だと主張している割に問題点があった」ので
「労働基準法を守れていない点を指摘すること」で
「賃金を払ってくれるはず」と思ったからです。
内容証明を送ってくるとは、会社は思っていなかったはずです。
「面倒なことになるのは避けたい」はずです。
内容証明を送ることで「心理的プレッシャー」をかけられると思います。
「支払ってもらう期日を切る」ことが有効です。
「こちらが給料を請求したという証拠が残る」ので
「相手が応じない場合に裁判をする際」には
会社に対し「こちらからの意思は示した」有利な証拠になります。
「配達証明付内容証明は郵便局に記録が残る」ので
会社が「受け取ってない」など言えなくなります。
会社を辞める際は「無断で辞めることはしない」のが基本ですが
「給料を払ってもらえない場合」など参考にしてみてください。